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運命の女神は 心強きひとに微笑み 心挫けたひとに手を差し伸べる

「陰陽五行と日本の民俗」



金運の話で神社の御利益の話をしましたが、今日は己巳の日ということでそれにまつわる話を書こうと思います。

己巳(つちのとみ)の日は60日に一度巡ってきますが、弁財天や宇賀神信仰、白蛇を祀る神社などでは祭神との縁日吉日とされています。

鎌倉の錢洗弁天を始め、己巳の日は多くの参詣者で賑わいます。卵をお供えしたり、祈祷を依頼したり、小銭やお札、財布や通帳などを水で洗い清め、お金が増えますようにと念じます。

吉日にお参りもしたし、これで無事お金が増えるね! というのは勘違いなんですよ? 実のところは、増やさなければいけないんです。

清めた種銭を世に回して、さらに増やしてまた来るように。

という好意を暗に神様から頂いているのです。なので、恩を仇で返さぬよう稼いで増やさなければならないから、結果金運が上がるという仕組みなのです。

では、何故錢洗というのか。銭を洗う意味はなんだろうかと考えたことありますか?

例えば、種銭でいうなら、東京赤坂の豊川稲荷別院には、末社に五円玉が置いてあって種銭として持ち帰り、お金が増えたらお礼参りという習俗があります。同じような信仰でもこのお稲荷様には銭を洗う行為はないわけです。

ここで吉野裕子という在野の民俗学者の本を紹介しましょう。

「陰陽五行と日本の民俗」

これは易や四柱推命の根幹理論である陰陽五行論から民俗信仰を解明しようとした著作です。

色々事例はありますが、「正月の猿回し」をかいつまんでおきます。

戦前の東京では、正月になると家々を猿回しがまわって芸をしたのですが、この習俗は江戸時代まで遡り、正月・五月・九月(旧暦)の三度にわたって猿回しをしていたといいます。

吉野氏は正月の猿回しを三合局と冲から説明します。

つまり三合水局の申(猿)は対冲する三合火局の寅(旧暦正月)を撃っていて、午(旧暦五月)と戌(旧暦九月)も同様に、水尅火の五行相尅によって、猿回しは江戸の火事を防ぐ呪術であるという訳です。

江戸では火事がもっとも恐れられていたのは周知の話ですからね。

というように、吉野氏は陰陽五行論が民俗行事や信仰において、ある種の理論付けに用いられている可能性を指摘したのです。

ここで、錢洗の話に戻しましょう。

「錢洗」と冠する信仰の対象は、おしなべて水に関わる神様です。

銭を洗うという行為に五行相生を当てはめると、金生水で水神様の霊力が増大すると理解できます。

ですので、錢洗という行為は神様への霊力の捧げ物という意味が原義であったと言えるのです。

これが時代が下り、錢を洗うと銭が増えるという信仰に置き換わっていったのでしょう。

そういう訳で己巳の日にちなんで、「錢洗は金を増やすのではなく水の気を増やす」という考察をしてみました。

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