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愚者のカード

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「愚者」

0番目のカードです。大アルカナはこのカードから始まるとも、いやこのカードで終わるのだとも言われています。

もちろん、0という数字が付されている事に注目するのは大事です。数秘術でも現れない0という数。

何故、数秘術で現れないかというと、古代西洋では0という概念が受容されなかったからでしょう。

有名なアルキメデスの公理では「ある数とある数を足せば、結果は元の数より大きくなる」とありますが、足しても増えない性質を持つ0は、この公理上、数ではないことになる訳ですから。

ともあれ「何も無い」、「差が無い」、「正でも負でもない」。そういう意味を持っている数が0であり、このカードの根源になるのです。

それでは本題。愚者のカードの絵柄に迫っていきましょう。

 

まず登場人物は旅装束の少年です。

他の事に気を取られているのか、はたまた考え事をしているのか、どうにも上の空な表情です。恍惚としてしまっているようにも見えます。

白い薔薇を持ち、颯爽と杖を担いで、優雅ささえ感じる彼の仕草やジェスチャーからは、解放されたような、自由を謳歌しているような気配が感じられます。

そんな様子ですから、彼は今、自分が置かれている状況、つまり後一歩踏み出せば崖から落ちる事を理解していません。

唯一、白い子犬が立ち上がりながら懸命に注意を引こうとしていますが、彼はそれを意に介しているように見えません。

見た所、十代後半から二十歳前後でしょうか。この年代の若者なら、本来特定の社会集団に属すものです。

それを敢えて旅に身をやつしているには、何か理由があるのでしょうか?

吟遊詩人かと思えばそうでもない。遍歴の職人とも違うようです。

それなら、巡礼者でしょうか。それが一番相応しそうです。

おそらく彼はまだ巡礼を始めたばかりか、それを口実に飛び出してきたのでしょう。

しかしながら、冠雪する高山にほど近いこのような岩山を着の身着のまま連れも無く歩くなんて、彼はどうやら世間知らずのようですね。

以上が表面的な絵柄から連想されます。

キーワードを挙げるなら

「旅立ち、自由、純粋無垢、大胆不敵」などが正の意味。

「上の空、不注意、未熟、無計画、無頓着」などが負の意味となりそうですね。

さて、ここで描かれたシンボルに目を転じて見ましょう。

太陽。薔薇。子犬。

これらは白く描かれています。

白色は、原初の楽園におけるまだ何者にも染まっていない無垢の象徴。あるいはまた自己を浄化して無垢な状態に回復しようという最終目標のシンボルです。

太陽は不死と復活のシンボルですし、白い薔薇は秘密厳守、天上の愛、死のシンボルとして描かれます。つまり祝福すべき輪廻転生を語りかけているのです。

そして、犬は霊を見る力があると信じられ、目に見えない危険を知らせると言われます。
 
頭に赤い羽根を刺しているのは、さながら鳥のように空中へ舞い上がる自由さ、魂の軽さを示しているのでしょう。

また、背景には急峻な雪山が描かれています。これは神に近い場所から下ってきた。あるいは神に近しい純粋な存在であることを示唆しているように思えます。

これらは先に述べたキーワードとも合致しますよね。

もう少し付け加えるなら、このようにより深層の象徴レベルを辿ってみると、この若者は小さな薔薇に象徴されるように、大いなる「秘密」を背負っているように思えます。

それは言ってしまえば、前世からの宿命を「やり直し」に「楽園」から現世に「復活」したと言えそうです。

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