2 女教皇のカード
魔術師の元を立ち去った愚者の少年は、どうやら長い旅を経て、異国の地に辿り着いたようです。彼の面前には、いかにも厳格そうな女性が、まっすぐにこちらを見据えています。
鏡のような冠をつけ、胸には十字があり、書物を抱えている女性が描かれたこのカードは「女教皇」と呼ばれています。
歴史上、「女教皇ヨハンナ」の名が残されていますが、歴史家たちは創作上の人物と目しているようです。
だとしたら、愚者の少年の目の前にいるのは幻なのでしょうか? 彼は幻覚を見ているのでしょうか?
よくこのカードを観察してください。
彼女の背後のタペストリーにはナツメヤシとザクロが描かれています。さらにその背景には、静かな水面と緩やかな丘陵のような地形が見えます。おそらく丘陵は砂丘でしょう。
この場所はオアシスにひっそりと隠された秘儀の場所らしい事が分かります。
彼女は東方へと分かれた教会の司祭。秘儀を司る指導者なのです。故に彼女は古代ユダヤ教の律法「トーラー」を半分隠すかのように抱えているのです。
「女教皇」とは神秘の守護者であり、相反するものを結びつける仲介者。
左右に建つ白と黒の柱にはBとJが刻まれています。
かつてソロモンの神殿には青銅の双柱があり、ボアズ「神の内に力が宿る」とヤキン「神は強固にする」という言葉が標されていました。お察しのとおり、BとJはボアズとヤキンの頭文字なのです。
また、秘儀の世界、錬金術師達は、ボアズとヤキンを硫黄と水銀の象徴と見なしてもいました。ですから、この二つの言葉は世界を構成する二つの極を象徴している訳です。
さらにタペストリーに目を移しましょう。
ナツメヤシは、ギリシャ名でフェニックスといいます。この単語が暗示するように、ナツメヤシは太陽神ヘリオスや光の神アポロンと結びつきます。
一方のザクロはというと、ぎっしりと詰まった種は豊穣のシンボルであり、また果実はデメテル、ペルセポネ、アフロディーテなど女神の象徴とされました。
さらに言えば、ペルセポネは冥界でザクロの種を食べて、一年の三分の一を冥界で過ごすなければならなくなったという伝説があります。
これらの事から、ナツメヤシは、光や男といった「陽」を象徴し、ザクロは闇(死)や女といった「陰」を暗示していて、柱の白と黒とともに二元対立の構図を示しているのです。
柱に話を少し戻すと、ボアズとヤキンの二つの柱は正義と博愛の象徴として、ソロモン神殿という「人間性」を支えていました。
これらの象徴が示すように、このカードの中心にいる女教皇はソロモンの神秘を体現する伝承者であり、両極を統べる存在なのです。
処女にして母となった聖母マリアが月に腰掛けている構図があるように、足下の三日月は女教皇も聖母に匹敵する存在である事を示しており、また、胸の十字架は単に遵法者という意味だけでなく、そもそも十字とは上下左右の交点で一元化の象徴という意味を表しています。
そして、愚者の少年にとって最も意義深いのは、ザクロが象徴する別の意味「外見は厳しいが慈悲深い聖職者」という点に尽きるでしょう。
少年が純粋に知識を求めたのに応えて、彼女は理性をもって叡智を与えたからです。
「理性と直感のバランス、洞察、純粋」がこのカードをよく表しているでしょう。しかし、足下の月はまだ若いので、
「うぬぼれ、神経質、思い込み」といった未熟な側面も時に出てしまうと言えるでしょう
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