3 女帝のカード
女教皇の元を後にした愚者の少年は、長い旅を経たようです。風景はがらりと変わって、糸杉の森の中の開けた場所に移りました。
今眼前にはゆったりとしたローブを纏った柔和な女性が、リラックスした様子でソファーに腰掛けています。頭上の冠、右手の笏からして、かなり裕福かつ位の高い方のようです。宮廷の喧噪を離れて、余暇に訪れているのでしょうか。
少年は思いがけず彼女の面前に飛び出したのでしょう。
護衛に斬り捨てられてもおかしくない状況ですが、彼女は上半身だけ起こして、少年に向き合っています。しかし、彼女は咎める風でもなく「慈愛」に満ちた顔を彼に向けています。しかも、着衣とその物腰からすると、彼女は「新たな生命」をその身に宿しているようです。
ソファーの下のハート型の盾とビーナスのマークが物語るように、このカードのテーマは「愛」と言えるでしょう。それも母が子に示すような豊かな愛情です。
背景の糸杉やローブに標されたザクロは女神のシンボルです。ザクロは女教皇にも描かれたように女性を示す象徴でした。そして足下の前景にある麦は、大地の豊かな恵みであり、地母神を仄めかす穀物です。
同じ女性性を示しているものの、女教皇には処女性が、この女帝には母性が込められています。それは両者の表情にも端的に現れていますよね。
女帝は月桂樹と12個の星が象られた冠を戴いています。これは高次の存在と繋がった聖母マリアを表現すると同時に、永遠の生命や新生の象徴でもあります。
新生の暗示はこのゆったりした絵柄にも込められていますし、糸杉(冥界の神を祀る儀式や墓場の魔除けに用いられ、死のイメージが強い)の森から流れ出た小川が、滝を境に麦が実る豊穣の大地へ注がれる図柄は、転生を象徴しているようにも見えます。
このカードのテーマは「母性愛、豊かさ、結婚、生命」であり、そのエネルギーが行き過ぎると「過保護、お節介、感情的、不妊」という面が出てきてしまうのです。
さて、女帝は愚者に何を語ったのでしょうか。あるいは彼は何を求めたのでしょうか。
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