1 魔術師のカード
0から1へと物語が動き始めました。愚者の場面から一転、赤いローブを纏った男がなにやら儀式めいた事をやろうとしています。
この場面だけを切り取ると、愚者と魔術師は何ら脈絡がないように思えますが、過去記事を参照して頂いて、大アルカナが愚者の旅という物語であると見立ててみてください。
ichimonji-murasame.hatenablog.com
大アルカナは、感受性を呼び覚ます大人の絵本といっても過言では無いと気付かれるでしょう。
さて、今一度カードの場面に注目しましょう。
赤い薔薇と白百合が咲き乱れています。
頭上からも蔓バラが枝垂れてきている様子から、東屋での光景のように見えます。東屋があるくらいですから、豪奢な邸宅なのでしょう。手入れも行き届いているようです。この屋敷は栄えている都市の一角にあるようです。
愚者の少年は、山から里へと下りてきて、まず最初に向かったのはその地方の中核を担う都市だったようです。
「都市の空気は自由にする」
ドイツ中世都市にまつわる格言にこんな言葉があります。平たく言えば、奴隷的境遇の者が都市に逃げ込み、一定期間を過ぎると自由身分となる事に由来します。
多感な少年が自由を求めて、まずは都市を目指したとしても、なんら不思議はありません。
そして求めたのは自由だけではないでしょう。都市に溢れている「刺激」や「活気」にも引き寄せられたに違いありません。
初めて味わう都市の熱気。行き交う人々。あるいは美しい織物に見た事も無い食べ物。どれもこれもが新鮮だったでしょう。
しかし、少年は都市の自由な空気にも堕落せず、とは言うもののすぐに物足りなくなったのか、さらなる探求を試みようとします。
そんな時に偶然通り掛かったのか、招き入れられたのか。彼は「魔術師」と邂逅したのです。
東屋のテーブルの上には金貨、杯、剣と棒が並べられているだけにも関わらず、少年は魔術師の一挙手一投足から目を離せません。
魔術師は天地を指さし、微動だにしませんが、表情は自信で満ちています。少年は魔術師が何をしているのか理解できません。それはまだ「愚者」だからでしょう。
本当の所、魔術師は無から有を生み出そうとしているのです。
右手に掲げたクリスタルのロッドは天のエネルギーを引き入れ、左手を通して大地へと導いています。純粋な自然のエネルギーが彼を介して脈々と巡っているのです。それは彼の頭上の無限の印と腰に巻いたウロボロスのベルトが象徴しています。
彼はその高尚な行為を、深紅の薔薇が示す情熱と、白百合が示す純粋な意志の力でもって成し遂げています。
机に並べられた金貨、杯、棒、剣は四大元素の地水火空の象徴であり、魔術師はそれらを理解し身に着けている事を示しています。
つまるところ、このカードから得られるキーワードとしては
「創造、熱意、男性的エネルギーの発露」でしょう。
ただ、悪意が力を支配すればそれらはたちまち
「ペテン、気弱、澱んだエネルギー」
へと変質してしまいます。
さて、愚者の少年はこの魔術師と出会って、さらに旅を続ける決意をします。何者かになりたいと思ったのか、あるいは魔術師が何をしていたのかを自分で知りたいと思ったからかもしれません。いずれにしても、少年の旅はまだ始まったばかりなのです。
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